板倉東洋大前駅から公共交通機関を利用して県境を越えないで群馬県庁へ行ってみる

新型コロナウイルス感染症の流行により、移動の自粛を求められるケースが発生しました。

群馬県からも不要不急の県境をまたいだ移動は自粛するよう要請がありました。

すでに取り下げられていますが、8月には以下のような要請が出されていました。

感染者数が人口10万人あたり10人以上の都道府県への不要不急の移動は、自粛をお願いします。
(8/29~:東京都、大阪府及び沖縄県)

関東地方で、感染者数が人口10万人あたり5人以上の都県への不要不急の移動は、自粛をお願いします。
(8/29~:神奈川県)

群馬県「社会経済活動再開に向けたガイドライン」に基づく要請について より

さてここで群馬県地図を見てみます。

群馬県のかるた「上毛かるた」には「鶴舞う形の群馬県」という読み札があるように、群馬県の姿形はかなり特徴があるものです。私の住む邑楽館林地区は、この鶴の頭や首の部分にあたります。南北に狭く、東西に長いです。その中でも最先端、最東端に位置するのが板倉町です。この板倉町から公共交通機関を使って、県境を越えずに県央前橋市にある群馬県庁にたどり着くことができるのか、実際にやってみました。(2020年7月11日実施)

板倉脱出が最初の難関

出発ポイントの板倉東洋大前駅です。12時出発ということにします。

板倉東洋大前駅は東武日光線の駅です。東武日光線は東京は浅草から栃木の日光まで通っているかなりの長距離路線です。まずはこれで移動したいですね。

駅で路線図を見てみましょう。

ちょっと見にくいのでアップにします。

板倉東洋大前駅周辺の路線図です。隣駅は柳生駅と藤岡駅です。さて、柳生駅は埼玉県加須市にあります。藤岡駅は栃木県藤岡市にあります。

つまり、板倉東洋大前駅から東武日光線に乗ると、必ず県境を越えてしまうのです😣

東武鉄道路線図より

よって、今回の「県境を越えずに県庁に行く」ルールに触れてしまいます。

鉄道がダメならバス!

鉄道は利用できないことがわかりました。別の手段を考えなければなりません。

板倉町と館林市を結ぶコミュニティバスがあります。これを利用して館林駅に出て、そこから鉄道で移動しましょう。

さて、板倉町から館林市に行くコミュニティバスは3路線あります。どれに乗っても館林駅に行くことができます。

板倉町公式サイトより

ですが、ここで落とし穴が!

うち1路線「館林・明和・板倉線」は利用できません。なぜかというと、県境を越えてしまうからです(えー

「館林・明和・板倉線」は一部区間埼玉県内を通行することが判明しました。

国土地理院地図(電子国土WEB)に線図を追記して作成

この地図のように「海老瀬通」バス停と「金蔵院前」バス停の間に埼玉県内を通過する区間があります。よってこの路線は使えません。コミュニティバスで県境を越えるのはけっこう珍しいんじゃないでしょうか。(というか、地域のコミュニティバスですら県境を越えるのにそれを控えろというのは無茶なんじゃ…)

ということで、残るは「館林・板倉線」と「館林・板倉北線」の二路線ですが、これらはどちらも県境を越えることなく館林駅まで行くことができます。ただそれでも「館林・板倉北線」は栃木県との境まで数10メートルのところを通過しますが。

国土地理院地図(電子国土WEB)に線図を追記して作成

でもなんとか、ルートを確保したので館林駅に向かうことにします。

12時出発としましたが、館林駅に着いた時点で1時間半経過しています。大変だ😅

館林からは「東毛広域幹線道路BRT」で玉村へ?

さて、館林駅から先の移動について考えます。

実は、群馬県には「東毛広域幹線道路BRT構想」というものがありました。

「東毛広域幹線道路BRT」路線イメージ図

「東毛広域幹線道路BRT構想」は館林駅と高崎駅を国道354号線を経由してバスでつなぐ構想です。大沢前群馬県知事の時代に計画され、2021年度を導入目標とするものでした。過去形なのは今年に入ってこの計画が頓挫したからです。

この路線が開通していれば、館林駅から伊勢崎市内にできる予定の停留所で路線バスに乗り換えて伊勢崎駅に出て、そこからはJRを使って群馬県庁に県境を越えることなく移動することができたのですが、それも今は幻。計画は完全に中止とはなっていませんが、開通する見込みはいまのところ立っていません。

新型コロナウイルス感染症の流行を機に計画が前倒しされていれば、「県境を越えない」移動が確保できたのですが、そうはなりませんでした。

参考:群馬県 – 東毛広域幹線道路BRT構想

東武線どれに乗ればいい?

ということで、改めて館林駅から先の移動について考えます。

館林駅は東武線の駅で、伊勢崎線、佐野線、小泉線が乗り入れるターミナル駅になっています。県庁のある前橋市に向かうには一般的には伊勢崎線で伊勢崎駅に出て、そこからJR両毛線を利用するか、佐野線で佐野駅に出て、JR両毛線に乗り継ぐかのいずれかですが、それでは今回の「県境を越えずに県庁に行く」ルールを守ることができません。

路線図で確認してみましょう。

館林駅周辺の路線図です。まず伊勢崎線から見てみます。隣の多々良駅は館林市にありますが、県(あがた)駅から野州山辺駅までは栃木県足利市です。次に佐野線を見てみます。隣駅の渡瀬駅は館林市にありますが、田島駅から先はずっと栃木県佐野市です。

以上のことから、伊勢崎線の県-野州山辺間と佐野線の田島駅から先は利用することができません。

東武鉄道路線図より

残るは小泉線です。小泉線は全線群馬県内を通行します。ということで、小泉線を経由して太田駅まで出ることにします。

太田駅到着は14時38分の予定。電車が出るまで25分待ちなので、駅前のカフェ・ド・スタールという喫茶店で一服することにします。

館林駅前の喫茶「カフェ・ド・スタール」とインドネパール料理店「スパイス酒場」

一休みしたら、小泉線で移動します。

小泉駅桐生線直通列車に乗り換えます。

太田駅からの最後の選択

ここで、乗り継ぎ確認をします。

最初は太田駅で伊勢崎線に乗り換えて、伊勢崎に出てJR両毛線に乗り継ぐ予定でしたが、太田駅での接続に44分もかかるんですね。さらに伊勢崎駅で29分待ち。ちょっと効率悪くない?というのと、県庁に着くのが遅くなっては意味が無い(今日は土曜日で県庁はお休みですが😅)。

ということで、別ルートを選びました。

そのまま赤城駅まで乗って、上毛電気鉄道に乗り継ぎ中央前橋駅に出ることにします。これだと、22分早く着けます!それでも16時は過ぎるので4時間以上かかることになりますけどね😅

赤城駅で最後の乗り継ぎです。

中央前橋駅に到着。

ここからは徒歩で移動します。中央前橋駅から群馬県庁までは徒歩で20分ほどです。前橋駅から県庁に行くのとさほど変わりません。

16時29分群馬県庁到着。4時間29分かかりました。思えば遠くへ来たもんだ。12時に出て、なんとか(平日であれば)県庁が開いている時間に着くことができました。

どれだけ余計に時間がかかったか

今回の全ルートです。中央前橋駅から先のバスは利用していません。徒歩のほうが早かったので。

次に県境にこだわらずに(普通に)移動していたらどうだったかを見てみます。

前橋駅からバスを使わなかったら15時前に県庁に着いてますね。県境を越えないというルールのために1時間30分以上余計に時間がかかったことになります。もちろんこれは時間帯によって結果はかわってくるでしょう。ルートも伊勢崎経由のほうが早いこともあるでしょう。それでも、すなおに日光線から両毛線に乗り継ぐほうが早いのは変わらないでしょうね。

最後に

いくら「県境を越えないで」と言われたとしても、実際にこんなことをする人はいないと思います。

だって、地域のコミュニティバスでさえ県境を越えるのですから。それもダメなの?と逆に聞きたくなりますよね。館林市消防署の救急車両は埼玉県内の病院に行くこともよくあります。そのくらい近隣県と密接な関係にあるわけです。だから、このあたりで他県ナンバーの車を見てもそれをどうこう言う人はまずいません。隣の県が生活圏ですからね。そのあたりの感覚はが中央の人にはわからないんじゃないかと思います。

「四県境」では辺境に目を向けて行きたいと思いっています。それで一発目としてこのネタを選びました。今後はどんな展開になるかはわかりませんが、ひとつよろしくお願いします。

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